2025/10/01
物流・配送
海外販売は“物流”で失敗する?海外配送の現実と対応のポイント 2分で読めます
海外販売は“物流”で失敗する?海外配送の現実と対応のポイント 2分で読めます

目次

  1. 海外販売における物流の全体像とは
  2. 海外販売における主要な物流課題7選
    1. 複雑な通関手続き
    2. 発送できない商品への対応
    3. 発送できない商品への対応
    4. 梱包基準・破損リスクの違い
    5. 物流コストの高さと変動性
    6. 返品・再配送対応の困難さ
    7. 情報の可視化と追跡の課題
  3. 物流の選択肢とそれぞれのメリット・デメリット
    1. 自社の国内倉庫から個別に直送する
    2. 国内倉庫から発送する物流業者に委託する
    3. 現地に自社倉庫を設け、そこから発送する
    4. 現地倉庫を保有する業者に委託し、発送を任せる
  4. 物流パートナーの選定ポイントとは?
    1. 対応国とエリアのカバー範囲
    2. 物流業務のサポート範囲
    3. 料金体系とコスト構造
    4. 追跡・可視化システムの有無
    5. 信頼性と実績
  5. 成功事例に学ぶ、物流最適化による海外販売の拡大
    1. 事例1:国内直送から現地委託に切り替えた雑貨メーカー
    2. 事例2:まるごと代行で販路を拡大―そのもの株式会社 × ZenGroup
  6. まとめ~販路拡大の鍵は「物流」の最適化にある~

 

日本における人口減少と国内消費の停滞が続く中、多くの企業が成長戦略として海外市場への進出を模索しています。デジタル技術やECプラットフォームの進化により、これまでハードルの高かった海外販売も、中小企業が取り組める現実的な選択肢となりました。

しかし、いざ始めてみると、多くの企業が直面するのが「物流」の壁です。商習慣の違いや国ごとの規制、通関手続きの煩雑さ、配送コストやリードタイムのばらつき。販売戦略がいかに魅力的でも、物流が滞れば顧客満足度は大きく損なわれ、信頼の低下にもつながりかねません。
一方で、物流の仕組みを戦略的に整備できれば、海外顧客の満足度向上やリピート購入の促進、そして安定した国際展開を実現することが可能です。

この記事では、国際物流の基本構造から具体的な課題、解決策、業者選定のポイント、最新の動向までを順を追って解説していきます。

 

1.  海外販売における物流の全体像とは

海外市場に商品を届けるには、国内販売とはまったく異なる「物流の構造」を理解する必要があります。
まず、物流には大きく分けて「国内物流」と「国際物流」の2つの領域があります。国内物流が商品の保管・梱包・配送といった比較的シンプルなプロセスで完結するのに対し、国際物流では、輸出入の手続き、通関、国境を越える輸送、現地での配送までを含んだ長い流れが必要になります。

たとえば、日本国内で製造された商品を海外の顧客に届ける場合、まずは国内の倉庫で保管・梱包を行い、輸出用に出荷します。その後、航空便や海上便で現地まで輸送され、税関で通関手続きを経たのち、現地の配送業者によって消費者のもとに届けられます。この一連の流れには多くの関係者が関わり、それぞれの工程がシームレスに連携しなければ、納期の遅延やトラブルが発生するリスクが高まります。

また、物流の各工程には、それぞれ特有の専門性が求められます。たとえば、通関業務は国ごとの規制や書類の正確性が問われ、誤りがあると輸送がストップする原因となります。現地配送ではインフラの整備状況や交通事情が影響するほか、追跡や再配達の可否といったサービス品質も企業の信頼に直結します。

さらに、国際物流には不確実性がつきものです。天候不良、通関の混雑、政情不安など、企業側の努力ではコントロールできない外部要因によって、リードタイムが大きく変動することがあります。在庫や納期の設計には、高い柔軟性と事前のリスクマネジメントが求められます。

海外販売における物流は、単なるモノを運ぶ手段ではなく、国境をまたいだ複雑なオペレーションであり、ビジネス全体の根幹を支える基盤といえます。

 

 

2. 海外販売における主要な物流課題7選

海外販売に取り組む際、多くの企業が物流面でさまざまな問題に直面します。
ここでは特に発生頻度が高く、かつ対応の難しい7つの課題を取り上げます。

2-a. 複雑な通関手続き

国際物流において避けて通れないのが通関業務です。各国で規制が異なるうえ、求められる書類や記載内容に不備があると、税関での滞留や差し戻し、最悪の場合は没収といった事態も起こり得ます。特に化粧品や食品、電気機器などは現地での認可や検査が必要になる場合もあり、事前に十分な確認と専門知識が求められます。

 

2-b. 発送できない商品への対応

国や地域によっては、輸入が禁止または制限されている品目があります。アルコールや医薬品、特定の植物や動物製品などがその代表例です。知らずに発送した場合、現地税関で廃棄されることもあり、商品コストだけでなくブランドの信頼にも悪影響を及ぼします。取扱商品が発送可能かどうかを出荷前に確認する体制が必要です。

 

2-c. 国ごとに異なるリードタイムと配送精度

配送日数や配達の正確性は国や地域によって大きく異なります。都市部は比較的安定していても、郊外やインフラが未整備な地域では遅延が常態化している場合もあります。顧客からの問い合わせやクレームの原因となりやすいため、国ごとの傾向を把握し、出荷時の案内やサポート体制に反映させることが重要です。

 

2-d. 梱包基準・破損リスクの違い

海外への長距離輸送では、荷物が複数回積み替えられたり、荒い扱いを受ける可能性が高まります。国内と同様の梱包では破損リスクが高く、結果として返品や再配送コストが発生します。現地の事情を踏まえた「海外仕様」の梱包設計が不可欠です。

 

2-e. 物流コストの高さと変動性

国際配送には航空・海上輸送費に加え、燃油サーチャージ、関税、現地配送費などさまざまなコストが絡みます。さらに、為替の変動や情勢不安による急な運賃高騰も起こり得ます。あらかじめ複数の配送ルートや業者を比較・検討し、コストを平準化する工夫が求められます。

 

2-f. 返品・再配送対応の困難さ

顧客都合の返品や不在による再配送は、国内であれば比較的容易ですが、海外では送料や通関費用が二重に発生する可能性があり、コスト・オペレーション両面で大きな負担となります。返品規定の整備や、現地対応を請け負うパートナーとの連携がリスク低減に貢献します。

 

2-g. 情報の可視化と追跡の課題

海外配送では、荷物の所在や配送状況の把握が難しいケースもあります。追跡機能が不十分な配送手段を選んだ場合、顧客対応にも影響が出かねません。トラッキング対応の有無、情報更新の頻度、システム連携の可否などを業者選定時にチェックすることが重要です。

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