目次
海外市場への参入手段として 越境EC(クロスボーダーEC) が注目を集めています。海外の消費者向けに商品を販売することで、日本国内市場に依存せずに売上を伸ばすことが可能です。しかし、越境ECを始める際に、「消費税の取り扱いはどうなるのか?」と疑問を持つ事業者の方々も多いのではないでしょうか。
実は、越境ECにおいては消費税が免除され、さらに仕入れ時に支払った消費税を還付してもらえる可能性があります。 しかし、そのためには「インボイス制度への対応」「適切な申請手続き」 など、クリアすべき条件がいくつかあります。
本記事では、越境ECにおける消費税の仕組みと還付の条件、申請手続き、注意点 について詳しく解説します。
1. 越境ECと消費税の基本ルール
越境EC(クロスボーダーEC)とは、日本国内の事業者が海外の消費者を対象にEC(電子商取引)を行うビジネスモデル のことを指します。AmazonやeBayなどの海外ECモールを活用したり、自社のオンラインショップを運営したりする方法があります。
越境ECは、日本市場だけに依存せず、世界中の消費者にリーチできるため、成長戦略として非常に有効です。特に、「Made in Japan」の商品は海外で高い評価を受けており、日本の企業にとって大きなビジネスチャンスとなっています。
1-a. 越境ECでは消費税が免税になる
通常、日本国内で商品を販売する場合、消費税(10%または8%)が課税されます。しかし、海外向けに販売する「輸出取引」に該当する場合は、消費税が非課税(免税) となります。そのため、越境ECで商品を販売する際には、消費税を上乗せする必要はありません。
ただし、仕入れ時に支払った消費税は、そのままでは事業者の負担となってしまいます。そこで活用できるのが 「消費税還付」 の仕組みです。適切な手続きを行うことで、仕入れ時に支払った消費税を還付してもらうことが可能になります。
2. 越境ECで消費税還付を受けるための条件
消費税還付を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
2-a. 消費税課税事業者であり、インボイス登録をしていること
2023年10月から導入されたインボイス制度 により、消費税の還付を受けるには 「適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)」 であることが必須になりました。
これまで、年間売上が1,000万円以下の事業者(免税事業者)は消費税を納める必要がなく、還付を受けることもできませんでした。しかし、インボイス制度の開始により、インボイス登録をすることで課税事業者となり、還付を受けることが可能になりました。
2-b. 原則課税方式を選択していること
消費税の計算方法には「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2種類がありますが、消費税還付を受けるには「原則課税方式」を選択する必要があります。
簡易課税方式を選択すると、消費税の計算が簡単になるメリットがありますが、仕入時に支払った消費税を控除できないため、還付を受けることができません。
2-c. 消費税課税事業者であり、インボイス登録をしていること
消費税還付を受けるためには、税務署に対して正しい申請を行う必要があります。その際、以下の書類を用意しましょう。
【還付申請に必要な書類】
- 消費税確定申告書(税務署に提出)
- 仕入れ税額控除に関する書類(インボイスや領収書など)
- 輸出証明書類(税関書類、送り状、海外顧客の注文書など)
- 売上帳簿・仕入帳簿(消費税計算の根拠となるデータ)
- 銀行口座情報(還付金の振込先)
税務署は消費税還付の申請に対して厳しくチェックを行うため、書類の不備がないように整理し、7年間の保存義務を守ることが重要です。
3. 消費税還付の申請手続きの流れ
消費税還付の申請は、原則として1年に1回、確定申告の際に行います。
【申請の流れ】
- 課税事業者として登録する(インボイス登録も含む)
- 年間の売上・仕入れデータを整理する
- 必要書類を準備し、消費税確定申告書を作成する
- 税務署に消費税確定申告書を提出する
- 税務署の審査後、還付金が振り込まれる(通常2〜3か月後)
申請の際には、電子申告(e-Tax)を活用すると手続きがスムーズに進みます。