2024/11/20
調査・実績データ
越境ECのトレンド~2024年最新データと2025年予測 3分で読めます
越境ECのトレンド~2024年最新データと2025年予測 3分で読めます

越境EC(クロスボーダーEC)とは、国内外の消費者がインターネットを通じて国境を越えて商品を購入できるサービスやシステムを指します。越境ECは、オンラインショッピングが世界中で一般化する中、グローバルな市場の成長とともに急速に普及しています。特に日本から海外へ向けた越境ECは、円安の影響や日本製品の高い品質イメージも相まって、高い注目を得ています。

国内市場の需要が低迷している企業にとって、越境ECは新たな販路となり得ます。
国際的なブランド力の強化、顧客層の多様化、そして日本製品の信頼性をアピールすることが可能で、海外消費者に独自の価値を提供できる中小企業や専門メーカーにとって大きなチャンスとなります。
今後は大企業だけでなく、世界市場での競争力を高めたいと考える全ての企業にとって、越境ECの導入は欠かせない戦略の一環となっていくでしょう。

ZenGroup株式会社は越境ECのトータル支援を通し、日本の企業が海外に進出する際のハードルを下げ、日本の商品を世界中の人々に届けてきました。インバウンド需要の急速な回復に加え、円安による価格競争力の向上や、日本商品の質に対する海外からの信頼が増していることなど、さまざまな要因が重なり、日本商品の海外市場での需要がますます高まっています。

こうした背景を踏まえ、ZenGroupは保有する海外ユーザーの購買データをもとに、海外消費者の購買行動やニーズを詳しく分析・ご紹介します。日本企業の皆様が越境EC市場に参入し、海外進出を検討する際の参考にしていただければと思います。

(※)対象:2023年10月1日から2024年9月30日の期間でZenGroupを通じて購入された商品データを基準に算出

目次

  1. 平均購入単価とドル円相場
  2. 海外顧客に人気のアイテム
    1. 人気のフィギュア
  3. 世界で人気なユーズドインジャパン
  4. 出荷金額、新規登録ユーザーが多い国
  5. 今後の市場成長が期待される国「ペルー」
  6. 海外送料・配送
  7. 海外決済動向
  8. まとめ:越境ECで広がる成長機会と日本企業への追い風



1. 平均購入単価とドル円相場

平均購入単価の推移とドル円相場の関係性について見ていきます。
円安の期間では、平均購入単価が上昇する傾向があります。

例えば、2022年10月(147円)や2024年6月(157円)など、円安が進んだ月では、平均購入単価も比較的高い水準を維持しています。円安が進むことで、日本の商品が海外の消費者にとって割安に感じられ、より高価格商品の購入が増加している可能性があります。

2022年10月~2023年9月の1年間では、平均購入単価が7,053円。
2023年10月~2023年9月の1年間では、平均購入単価が7,590円。
増加率は約7.6%となっています。変動はありつつも、今後も同様に成長が続くと仮定すると、平均購入単価はさらに上昇すると予想されます。また、円安が進行する場合は、より平均購入単価を押し上げる可能性があります。

2. 海外顧客に人気のアイテム

海外での売れ筋商品についてご紹介します。
2023年10月~2024年9月の販売アイテムランキング。



最も購入件数の多かったカテゴリは「プラスチックフィギュア」でした。2位にトレーディングカード、3位にぬいぐるみ、4位にコミック・漫画、5位にCDが続きます。

日本のアニメや漫画、ゲームは世界中で非常に人気が高く、それに関連する商品は、コレクターやファンの間で高い需要があります。

 

国別に販売アイテムのランキングを見ていきます。

出荷量上位の国からアメリカ、メキシコ、ウクライナ、フランスをピックアップしてご紹介します。
各国でプラスチックフィギュアやトレーディングカードがトップ10に入っており、日本のポップカルチャー商品が世界的に広く受け入れられていることが分かります。
多くの国で「CD」や「レコード」といった音楽関連商品がランクインしています。音楽や映像などのコンテンツが収録された物理的なメディアであるフィジカルメディアが一定の需要を保っていることがわかります。

メキシコでは人形やドールハウス、ベイブレード・こまなど、子供向けやファミリー向けの商品、ウクライナでは釣り用品が人気であるように、各国の文化や嗜好が商品カテゴリに影響を与えています。

 

2-a. 人気のフィギュア

どの国においても人気を博しているフィギュア。アメリカ、フランス、メキシコで人気のフィギュアをご紹介します。

アメリカではポケモンがトップに立っています。2位には色々なフィギュアの詰め合わせ、3位にはワンピースとなっています。
ボーカロイドもランクインしており、音声合成キャラクターである初音ミクをはじめとするボーカロイド関連商品が、アメリカ市場で人気を獲得していることがわかります。

フランスの1位はドラゴンボール。2位にはワンピース、3位は詰め合わせとなっています。フランスでは、鬼滅の刃や僕のヒーローアカデミアがランクインしており、日本の新しいアニメシリーズへの関心が高いことがうかがえます。



メキシコの1位はドラゴンボール、2位はポケモン、3位は聖闘士星矢となっています。
メキシコでは、聖闘士星矢やガンダムのような、少し古い日本のアニメキャラクターもランクインしています。

ドラゴンボールとワンピースは、どこの国でもトップ5にランクインしており、特にフランスでは両方とも非常に高い割合を占めています(ドラゴンボール:17.94%、ワンピース:17.44%)。

プラスチックフィギュアやトレーディングカードなど、日本のアニメやゲーム関連商品は、2025年も引き続き高い需要が予想されます。
2025年に公開予定の新しいアニメ映画やゲームタイトルがあれば、それらに関連する商品であるフィギュア、ぬいぐるみ、トレーディングカード、その中でも日本のみで発売されるものは、人気を得ることが予想されます。
聖闘士星矢、ガンダムといった過去の作品やキャラクターのリバイバルの傾向も続くと思われます。
ウクライナでは釣り用品がランクイン、メキシコでは子供やファミリー向けの商品が人気であるように、各国の生活スタイルや嗜好が今後も商品選びに影響を与えていくと考えられます。

 

3. 世界で人気なユーズドインジャパン

出荷商品における中古品の割合は、新品の割合を大きく上回っています。

2021年10月~2022年09月の中古品割合は64.8%。
2022年10月~2023年09月の中古品割合は73.9%。
2023年10月~2024年09月の中古品割合は74.6%。
3期間連続で、中古品の出荷割合は着実に増加しています。

近年、途上国でも経済成長とともに生活水準が向上しており、これに伴い持続可能な生活の重要性がより認識されています。特にリサイクルやリユースは、資源の効率的な使用と環境負荷の軽減に直結するため、その重要性が増しています。

この中で日本人が使用していた中古品を海外の人々が欲しがるケースが増えています。
日本では、持ち物を大切に扱う文化があります。そのため、日本の中古品は、何年も使用した後でも状態が非常に良いものが多くあります。「ユーズドインジャパン」と言われるように、日本製でなくても、日本人が使ったものは品質がよく、安心感があるとされています。

 

4. 出荷金額、新規登録ユーザーが多い国

出荷金額の上位割合を見てみると、最も多かったのは「アメリカ」、第2位は「フランス」、第3位は「メキシコ」となりました。

2023年10月から2024年9月にかけて、新規登録ユーザーは46万人をこえています。
新規登録ユーザーのうち、アメリカ合衆国が11.1%で最多、続いてメキシコ、ポーランドが続きます。

新規登録ユーザーの上位 10 か国には、北米と南米の国々だけでなく、タイ、台湾、インドネシアといったアジア、サウジアラビア、エジプトといった中東、ポーランド、トルコといったヨーロッパの国々も含まれています。日本の商品がさまざまな地域、文化、経済にわたって魅力的であるとされていることを示しています。

 

5. 今後の市場成長が期待される国「ペルー」

弊社のサービスは19言語での展開を行っています。その中でもスペイン語圏市場の発展が顕著です。
日本の製品が非常に人気を集めていることを示しています。

スペイン語圏のメキシコ、ペルー、スペイン。各国とも、いずれも前期間と比較して出荷量が増加していますが、特にペルーの増加率が最も高くなっています。

ペルー経済は近年、悪天候、社会不安、景況感の低下などの要因により成長が鈍化していたものの、2024年には2.7%の成長が見込まれ、2025年にはさらに2.4%の成長が見込まれるともされています。
経済の安定、成長によってまだまだ伸びしろがあると言えます。
ただし、税関や税金といった問題もあります。インドネシア、中国、ベトナムといった国への中古品の輸出は難しくなっています。ペルー以外の中進国、新興国に関しても、経済成長するにつれ、かつ輸出の制限などがなければ、日本の商品が今後売れる可能性が高いと言えます。

 

6. 海外送料・配送

送料、配送についてご紹介します。


2016年から2024年にかけて、送料は一貫して増加。2016年の約4000円から2024年の約7700円まで、約1.9倍増加しました。

2020年から2021年にかけて、送料が約5000円(5,155円)から約6000(6,045円)に急増し、さらに2022年には約7300円(7,341円)に達しています。この期間は新型コロナウイルスの影響で、国際輸送費や物流コストが急上昇した時期に当たります。

これらの高騰には、燃料価格の変動などによる国際的な物流コストの上昇、人手不足などが大きく影響していると考えられます。
現在の物流インフラや燃料費の状況が続く限り、送料が今後も上昇を続ける可能性があります。

さらに、国際配送は各国の状況に大きく左右されます。
紛争地域では、空港や港湾、道路が被害を受けたり、封鎖されたりするため、通常のルートが利用できなくなることもあります。特に戦闘が激化している地域では国際配送が遅延したり、キャンセルされる可能性が高まります。

戦争や紛争により、原油価格が大きく影響を受けることもあります。

 

現在ロシア周辺国のカザフスタンやベラルーシへの出荷には、輸出貿易管理令が適用されています。レーダーや無線通信機器の通信機器、軍事用ドローンなどに使用される可能性がある電子機器など、軍事転用される可能性のある物品を日本から送ることはできません。

また、国際配送の際には、出荷国によっては、税金の事前徴収が必要となる場合があります。たとえば、EUに150ユーロ以下の商品を輸出する場合、販売者は付加価値税を事前に徴収し、EUの税務当局に納付する必要があります。2028年からは全ての商品が対象になるといった方針も発表されています。

今後も世界各国の情勢により、出荷停止や輸出制限となる可能性もあります。また、越境EC市場の成長に伴い、各国は税収を確保するために、税金の事前徴収制度を導入・拡大する可能性もあります。

世界各国への配送は年々難しさを増していくと考えられます。

 

7. 海外決済動向

昨今の海外決済動向についてもお話しします。

クレジットカード以外に、WISE、仮装通貨CoinGateなどの決済方法のシェアが増えています。特にドイツでは、PayPalにつづき、約31%がWISEを支払方法として選択しています。

クレジットカードやペイパルに対応すれば、海外に商品が売れるというものではありません。

例えば、弊社では5月にTazaPay(※)を導入。その後、タイ言語バージョンの売上が伸びています。
(※)TazaPayとは、多くの国でさまざまな決済方法を提供する決済処理システムです。タイを中心に東南アジアの複数の国で展開されているデジタル決済サービス「TrueMoney」、QRコードスキャンによる銀行送金サービス「PromptPay」、スマートフォンを使って銀行サービスを提供するシステム「モバイルバンキング」といったものが含まれます。

タイではクレジットカードの普及は徐々に進んでいますが、現金や銀行振込、モバイル決済が主流な支払い手段です。 

クレジットカードがまだ広く普及していない国も多くあります。海外から物を買う際にはこういった決済のハードルもあります。これらのハードルが解消されることで、新たな市場が開拓されることが期待されます。

  

8. まとめ:越境ECで広がる成長機会と日本企業への追い風

越境EC市場は、日本企業にとって新たな成長機会を提供し、世界中の消費者が日本の商品にアクセスできる重要なプラットフォームとなっています。
円安の影響で日本製品が割安に感じられることや、アニメ・漫画、ゲームなどの日本文化がグローバルに人気を博していることから、各国での需要が高まっています。

さらに、環境への配慮が高まる中、日本の中古品も海外市場での需要が増加しており、リユースやサステナビリティを重視する流れが続くと考えられます。国ごとに異なる生活様式や嗜好を反映した商品選びも求められるため、企業にはターゲット市場に応じた戦略が求められます。

今後、越境ECを通じてさらなる成長を目指す企業の皆様の参考として、当社のデータや分析を活用していただければ幸いです。

ZenGroupは、豊富な購買データをもとに、こうしたグローバル市場のニーズを分析し、日本企業の皆様が越境EC市場での競争力を高め、海外進出を成功させるための支援を行っております

ぜひお気軽にお問合せください。