1970年代~80年代のキャラクターの商品をメインに取り扱う有限会社オタキック。近年、海外からの問い合わせが増加し、その需要に応えるべく、より簡単かつ安全な販売方法を模索。言語の壁や発送方法、決済手段の複雑さが課題となっていました。また、高額な商品の場合には、入金が行われるかといったリスクも大きな懸念事項でした。こうした問題を解決するため、オタキックはプラットフォームとして「ZenPlus」を選びました。
「海外の方も含め、ほしい人の手に渡ってほしい。」そう語るのは、70年代~80年代のキャラクターの商品をメインに取り扱う有限会社オタキックの鷲澤氏。
有限会社オタキックでは、10年ほど前から海外からの問い合わせが増え、海外需要を感じていました。しかし、言語、決済、配送の壁から越境販売の難しさを痛感していました。越境ECモール「ZenPlus」の導入を開始し、市場を広げるだけでなく、オリジナル商品展開の強化も目指しています。代表取締役の鷲澤氏にお話を伺いました。
ーこの事業を立ち上げた経緯はどのようなものですか?
小さい頃からガンダムや怪獣が大好きでした。サラリーマンとして働きながら、副業としてこの事業をスタートさせました。
ガチャガチャをコンプリートしたくても難しい、あと1個がそろわない、何度もやるとダブることもありますよね。当時はヤフオクやメルカリがなく、やり取りや売買の場所がありませんでした。ホビー雑誌が唯一やり取りできる場。「売ります・買います」コーナーに「○○を売ります」と初めて載せたときから反響がありました。
「大人におもちゃを販売する」というビジネスは、真剣に取り組めば商売として成立するのではないかと考えました。ホビー雑誌に広告を出すためには、お店であること、そして屋号が必要でした。そこで25歳で起業を決断。
現在では大人がアニメを観ることも普通に受け入れられていますが、当時は「まだ好きなんですね」「卒業できないんですね」といった声がかかるなど、まだまだ偏見がありました。フィギュアという言葉さえも、スケートを連想される時代でした。
商品の形状に合わせて成型されている透明なプラスチック製のパッケージ「ブリスターパック」。そのブリスターパックに入ったままで台紙のついた人形をそのまま壁に飾ることが流行しました。おたくでない人も、フィギュアや人形を飾ることをおしゃれだと思ってくれるように。少しずつ時代は変わってきたなと実感しています。
ーオタキックさんの特徴を教えていただけますか。
70年代~80年代のガンダム、ウルトラマン、仮面ライダーといったテレビで放映されていたキャラクターの商品がメインです。大きなデパートやトイザらスにあるような新しいものではなく、古いキャラクター商品を多く取り扱っています。
40代から50代の方々がお客様として多いですが、最近では20代から30代の方も増えてきました。
今でこそ少しずつ受け入れられてきましたが、過去にはさまざまな困難な時期もありました。お客様や取引先様に助けられてきました。お客様が無償で梱包や陳列、倉庫整理を手伝ってくれたり、猶予を下さったり。人に恵まれていると感じています。
ー27年、このご事業を続けてこられている理由は何かありますか?
弊社は北海道札幌市に店舗、倉庫を構えています。家賃が高いと倉庫の維持が難しくなりますが、札幌市は田舎の中でも都会で、土地が広く立地が良く、物の流通も活発です。仕入れた商品を3~5年は寝かせることができるのもこの立地のおかげだと思います。
おもちゃはずっと同じものが作り続けられるわけではありません。人気のあるものは復刻されることもありますが、原材料や質が異なり、オリジナルとは違うものになります。ヴィンテージのおもちゃは、色が剥げているものも味わいがあり、遊んだ跡や日焼けがあっても、それに魅力を感じて求める人もいます。
元々おもちゃが好きで捨てられない性格の私ですが、「ほしい人の手に渡ってほしい」とモノへの執着を持つことが、商売のプラスに繋がっていると感じています。
ー 海外展開について課題は感じられていましたか?
10年ほど前から、海外からの問い合わせが増え、需要を感じていました。日本のキャラクター商品が海外で好まれ、喜ばれていると肌で感じていました。SNSのメッセージ経由で小さな売買はありましたが、もっと簡単な方法がないかと考えていました。
語学にたけているわけではないので、翻訳ソフトを使いながらのやりとりは大変です。また、発送方法は国によって異なり、送料を計算するのが難しい点も課題です。ネットバンクが増えてきている今、決済方法に対応するのも大変でした。
さらに、直接取引を行う場合、金額が大きくなればなるほど、商品を送った後に連絡がつかなくなるリスクもあり、怖いと感じていました。
ー ZenPlusを導入した背景は何だったのでしょう?
私が思っていた「こうだったらいいな」という要望が全てまとまっているのがZenPlusです。
もともと越境販売をするにしても、アジア圏内やアメリカくらいだろうと思っていました。ZenPlusは19言語に対応し、181の国・地域をカバーしており、予想を超える範囲の世界をカバーしています。
また、円安の影響もあり、海外のお客様にとって買いやすい状況だと感じています。弊社の商品は決して安い商品ではありません。価格競争を意識した値付けはしておらず、利益を出すことが従業員、取引先、銀行の信用に繋がり、そして何よりも商品の仕入れに繋がることでお客様に還元できると考えています。
日本国内だけでなく、海外のお客様にも「ほしい」と思っていただける商品を提供し、ニーズに合致させることができればと考えています。
ー 今後の展望について教えてください。
さまざまな国に弊社の商品を売っていきたいと考えています。弊社限定色のカラーで塗ってもらうソフビ人形など、オリジナルの商品も作っています。海外でも販売できるのであれば、製作数も増やせるため、コストが下がります。利益が出るだけでなく、お客様に価格面でサービスすることも可能になります。また、製作数が増えれば、メーカーさんへの恩返しにも繋がります。
また、販売数量が変わらなくても、売り切れる速度が速くなり、回転が良くなれば、次の新たな商品企画を進めることができるようになります。マーケットが広がれば、国内販売だけではチャレンジできなかったマニアックなアイテムにも挑戦する決断ができるのではないかと考えています。
海外の方に知っていただき、「オタキックを使おう」「オタキックで買おう」となってほしいです。