目次
- 越境ECとは?
- 越境EC市場の成長と背景
- 越境ECの可能性
- 越境ECを始めるための準備
- 販売する商品の選定
- 販売先国とターゲットの設定
- 法律や規制の確認
- 越境ECの流れ
- 商品の準備と適切な梱包
- ECサイトやプラットフォームの選択
- 販売開始から顧客対応まで
- 越境ECにおける課題と解決策
- ロジスティクス(物流)の課題
- 言語や文化の壁
- 決済・税関処理の課題
- 顧客対応とトラブル管理
- 越境ECを効率的に運営するためのツールとサポート
- 越境EC支援サービスの活用方法
- 自社EC運営を支援するツール
- 効率的な運営を実現するために
- まとめ~越境EC成功への第一歩~
国内市場の成熟化が進む中、多くの企業が海外市場への進出を模索しています。その中で注目を集めているのが「越境EC」です。越境ECは、日本の商品やサービスを海外へ届けるための効果的な手段として、多くの企業に新たな成長機会を提供しています。
本記事では、越境ECを始める際の基本的な流れや必要な準備、成功のためのポイントを詳しく解説します。これから越境ECを始めたいと考える方や、すでに取り組んでいる方にも役立つ内容をお届けします。
1. 越境ECとは?
越境ECとは、国境を越えて商品やサービスを販売する電子商取引のことを指します。具体的には、日本国内の企業や個人がインターネットを通じて海外の消費者に商品を販売する仕組みです。近年のデジタル化の進展により、国内外の距離が縮まり、多くの企業が越境ECを活用して新たな顧客層を獲得しています。
この取引形態は、特にインターネットが発達した地域で広がりを見せています。たとえば、中国やアメリカ、ヨーロッパなどの地域では、日本製の商品に対する需要が高まっており、越境ECを通じた輸出ビジネスが急成長しています。
1-a. 越境EC市場の成長と背景
越境EC市場は、世界的な電子商取引の拡大に伴い急成長を遂げています。経済産業省の「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、越境EC市場は2030年には7兆9,380億USドルに達すると予測されています。この成長の背景には、以下の要因が挙げられます。
- ネットインフラの普及
高速インターネットやスマートフォンの普及により、世界中の消費者がオンラインショッピングを利用しやすくなっています。 - 日本製品の人気の高まり
「Made in Japan」の品質や信頼性が、特に中国やアメリカなどで高く評価されており、美容製品や食品、家電製品が高い需要を誇っています。 - 物流技術の進化
国際配送ネットワークの発達により、以前より迅速で効率的な商品配送が可能となり、越境ECを利用したビジネスの障壁が低くなっています。 - インバウンド消費の波及効果
訪日外国人が日本で購入した商品を帰国後も愛用し、越境ECを通じてリピート購入するケースが増加しています。
1-b. 越境ECの可能性
越境ECは、国内市場の成熟化が進む中で、企業に新たな成長機会を提供します。特に、日本製品に対する高い信頼感と独自性が、海外の顧客にとって大きな魅力となっています。
また、越境ECは単なる販売チャネルを超え、企業のブランド価値向上や国際市場でのポジショニング強化に貢献するプラットフォームとしての可能性も秘めています。適切な戦略を立てることで、多くの企業が越境ECを通じた成功を収めることが期待されています。
2. 越境ECを始めるための準備
越境ECを成功させるには、事前の計画と準備が非常に重要です。特に、販売する商品の選定、ターゲットとする国や消費者層の明確化、そして輸出に関連する法律や規制の確認といったステップは、事業全体の基盤となる重要な要素です。これらの具体的な準備プロセスについて詳しく解説します。
2-a. 販売する商品の選定
越境ECを成功させるためには、販売する商品の選定が重要です。海外市場で需要がある商品を見極め、競争力のある価格設定や品質を維持することが求められます。特に以下のような商品は越境ECでの人気が高い傾向があります。
- 食品・飲料:特に抹茶や日本酒、スナック菓子など、日本独自の味や品質が評価されています。
- 美容・健康関連商品:日本製の化粧品やサプリメントは、その高品質と安全性から海外消費者の間で人気です。
- アニメ・キャラクター関連グッズ:フィギュアやポスター、アニメのコレクターズアイテムは、海外で日本文化を象徴する商品として高い需要があります。
市場調査を通じて、ターゲットとなる国や地域でのニーズやトレンドを把握することが商品選定の第一歩です。
2-b. 販売先国とターゲットの設定
越境ECを展開する上で、販売する国やターゲット層を明確にすることが成功の鍵となります。それぞれの国や地域によって消費者の購買行動や嗜好、文化が異なるため、以下のポイントを考慮してターゲットを設定しましょう。
- 市場規模と成長性
ターゲット国の電子商取引市場の規模や成長性を調査します。特に、アジア市場や北米市場は大きなポテンシャルを秘めています。 - 文化や習慣
商品の受容性を検討するために、ターゲット国の文化や消費者行動を理解します。例えば、食品の場合は現地の宗教や食習慣を考慮する必要があります。 - 購買力と消費動向
ターゲット層の購買力や消費傾向を把握し、それに基づいた価格設定やマーケティング戦略を立案します。
2-c. 法律や規制の確認
越境ECを行う際には、輸出先国の法律や規制を事前に確認することが不可欠です。商品によっては輸入が制限されている場合や、特別な許可が必要な場合があります。また、関税や消費税などの費用も考慮しなければなりません。
- 輸入規制:一部の商品(食品、医薬品、化粧品など)は、輸入規制や特別な検査が必要です。
- 知的財産権:販売する商品が他者の商標権や著作権を侵害していないか確認する必要があります。
- データ保護規制:顧客の個人情報を取り扱う際、ターゲット国のデータ保護法(例:GDPRなど)を遵守する必要があります。
3. 越境ECの流れ
越境ECを実際に始めるためには、商品の準備から顧客対応まで、一連のプロセスをスムーズに進める必要があります。越境ECの一般的な流れをステップごとに解説します。
3-a. 商品の準備と適切な梱包
越境ECでは、商品そのものの品質だけでなく、海外配送に耐えられる梱包が非常に重要です。商品が海外に届くまでには、多くのハンドリングや移動が発生するため、壊れやすい商品や液体の商品には特に注意が必要です。
- 梱包材の選択:エアキャップ(プチプチ)や緩衝材を活用し、輸送中の衝撃を吸収できるようにします。
- ラベルの明確化:外箱に商品名や取り扱い注意のラベルを貼り、関税申告書や送り状が正しく記載されていることを確認します。
- 海外対応のパッケージデザイン:場合によっては、現地の消費者に好まれるパッケージデザインを採用することも効果的です。
3-b. ECサイトやプラットフォームの選択
越境ECを行うには、商品を販売するための適切なプラットフォームを選ぶ必要があります。
- プラットフォーム
eBayやAmazon Globalなど、海外市場で広く利用されているプラットフォームは、既存の顧客基盤を活用できる利点があります。ZenPlusのように、問い合わせ、海外発送などトータルで越境ECを支援するプラットフォームも選択肢の一つです。 - 自社ECサイト
自社ブランドを構築するために、越境対応可能なECサイトを構築し、独自に運営する方法です。Shopifyなどのツールを使えば、国際配送や多通貨対応が可能なサイトを簡単に立ち上げることができます。
また、越境EC対応サービスのWorldShopping BIZやZenLinkを活用することで、日本国内向けのECサイトを簡単に越境化することもできます。
3-c. 販売開始から顧客対応まで
販売を開始した後は、購入者とのスムーズなやり取りと信頼の構築が重要です。
- 注文の確認と発送手続き
注文が入ったら、迅速に対応し、発送までのプロセスを効率化するために、配送会社との連携を強化します。発送時には追跡番号を提供し、顧客が配送状況を把握できるようにします。 - 顧客サポート
言語や時差の問題に配慮しながら、購入者からの問い合わせに迅速かつ丁寧に対応します。可能であれば、現地語での対応を準備すると信頼度が向上します。 - レビューとフィードバック管理
顧客からのレビューやフィードバックを積極的に活用し、商品の改良やサービスの向上に役立てます。高評価のレビューは、新規顧客の購入を促進する大きな要因となります。