「日本の食文化に触れていただきたい、お惣菜を世界の方々に食べていただきたいです。」そう語るのは、常温保存ができる真空パックのお惣菜事業を展開する有限会社ウチノの内野氏。
有限会社ウチノが提供する「uchipac(ウチパク)」は、常温での保存が可能。お惣菜屋さんをやっていたバックグラウンドもあり、種類も豊富です。
海外にuchipacを持っていかれたお客様の声から海外展開を視野に入れ始め、越境販売のきっかけを掴む一つの媒体として越境EC対応化サービス「ZenLink」の導入を開始しました。代表取締役の内野氏にお話を伺いました。
ー 常温で保存できるお惣菜は珍しいですね。この事業を立ち上げた経緯はどのようなものですか?
父が昭和50年に町のお総菜屋さんとして事業をスタートさせました。肉じゃがやサバの煮つけなど、手作りのお惣菜を店頭で提供していました。添加物を使っていないため、朝に作り、残った場合には廃棄処理。毎日作って、毎日捨てていました。
惣菜を捨てない商売に切り替えたいという想いから、新たな事業の展開を考え始めました。
安心安全のためとはいえ、販売する商品に添加物は使いたくありませんでした。家庭で作るように、自分たちが毎日食べておいしいと思えるお惣菜を提供したいと考えました。高温で殺菌をすることで、常温で日持ちがするお惣菜を作ることができることは分かりました。しかし、120度以上で加熱すると素材感がなくなってしまいます。
8年前ほどから開発をスタートをして、uchipacとして商品化。最初は満足のいく商品を作ることが難しかったのですが、発想を転換し、作り方を変えることで納得のいく形になったのが6年前です。そこから、徐々に販売をスタートしました。
ー uchipacの特徴を教えていただけますか。
常温での保存が可能、賞味期限は製造から1年7か月です。
お惣菜を作った後、出来たてをそのまま真空パックにして、そして袋ごと高温加圧殺菌を行うことで袋の中を無菌状態にします。袋を開けない限り菌が入らないため、常温での保存が可能となります。
現在では、お惣菜の取扱い品目は、約50種類です。常温で送り、食べられるため、宅配で届けることができます。常温保存が可能なので、不在の場合にも置き配や宅配ボックスへの配達が可能です。日本の食文化、お惣菜といった家庭料理を、海外でもuchipacで気軽に楽しんでいただけます。
ー ZenLinkを導入した背景は何だったのでしょう?
これまで国内市場を中心に販売してきましたが、中長期的には海外販売を計画していました。日本の人口は減少傾向にあります。このため、現在の流通では食数が減少すると予測されます。将来的には海外に向けた市場開拓が必要となってくると感じていました。きっかけを掴む一つの媒体として「ZenLink」を検討しました。ZenLinkを使えば、大規模なシステム変更や構築がなくとも、海外と繋がることができます。海外のお客様も現地の言葉で、商品を購入することができます。中小企業単体ではシステム構築を行うのは難しく、ZenLinkをやらせていただくのはハードルが低いと感じています。
また、BtoBでの販売は、お客さんとの距離があり、どうしても卸先や販売先がハンドリングすることになってしまいます。世界が相手だとしても、直接お客様にお届けできるような販売方法はやっていきたいという気持ちがありました。
どこの国でどういった商品が売れているかが分かれば、注力していくべき方向性も定まり、商品のパッケージデザインのブラッシュアップにも繋げられます。そういったところもZenLink導入に至った理由の一つです。
ー ZenLinkはどのような企業様やお店様におすすめでしょうか?
私が越境販売を始めるきっかけとなったのはお客様の声です。お客様から、海外にuchipacを持っていき「とても便利だった、とてもよかった」といった声を頂きました。そういった利用シーンがあるのだとお客様から気づかされ、海外への販売もやってみようとなりました。
色々なメーカーさんいらっしゃると思うのですが、お客様が海外で利用しているといった声があれば、声を聴くだけで終わらず、海外に向けてチャレンジしていくことが夢もあってよいのかな、と。
ー 今後の展望について教えてください。
uchipacを開発する前は、売れ残ったお惣菜をゴミ袋にまとめて捨てていました。
食材はもちろんもったいないですが、手作りの総菜は従業員が心を込めて作り上げた成果物であり、企業の財産です。お惣菜を無駄にしないために、賞味期限を1日でも2日でも長く延ばす方法を模索しました。その結果、製造後1年7か月の賞味期限を実現しました。おかげで店頭での販売だけでなく、海外に持っていくことも、贈り物として送ることもできるようになりました。お客様はその商品の新しい使い方を見つけてくれます。
世界のお客様の声を聴き、商品をどのような形にするのか、どう届けるのか、考えていきたいです。従業員が手作りで心を込めて作るお惣菜が、海外の方々にも届くことを願っています。
また、今後新しいお惣菜の形にチャレンジしたいと考えています。ZenLinkを通じて、それらも海外の方に届けられるといいなと思います。