目次
- UPSジャパン株式会社|小さくても世界で勝てる!越境ECの成長を加速させる『物流戦略』
- DHLジャパン株式会社|Eコマースの新しい競争軸:体験・信頼・価値観から考えるサステナビリティへの現実的な一歩
- 世界へボカン株式会社&株式会社SlowLife|なぜこのブランドは「自社配送」を選び続けているのか―越境EC物流の意思決定プロセスをひも解く―
- パネルディスカッション|2026年の物流トレンドと、リスクに強いビジネスモデル設計
- おわりに|参加者の声から見えた、越境EC市場への期待と意欲
2026年3月12日、グランフロント大阪会場およびオンラインにて、ZenGroup主催セミナー「越境ECの未来を考える2026」を開催いたしました。
第3弾となる今回のテーマは、越境ECの生命線とも言える「国際物流」。各国の関税政策や通関制度が大きく変化する中、業界をリードする各社とともに、越境EC市場の最新動向や実践的な知見をお届けしました。
前編記事では、当日の熱気あふれる会場の様子や、ZenGroupが語る最新の国際物流戦略をダイジェストでお届けしました。[イベントレポート前編はこちら] 続く本記事では、登壇した物流大手各社によるセッションの要点を詳しくご紹介します。貴社の越境ECにおける物流の最適化や、課題解決のヒントとしてぜひご活用ください。
1. UPSジャパン株式会社|小さくても世界で勝てる!越境ECの成長を加速させる『物流戦略』
「小規模な事業者でもグローバル市場でいかに優位性を築くか」をテーマに、越境EC市場の現状から、中小企業が直面する具体的な課題、解決策まで網羅して解説いただきました。
UPSジャパン株式会社
セールス&ソリューションズ 部長 松田 佳典 様
インダストリアル エンジニアリング 部長 三浦 暁彦 様
①越境ECの可能性
越境EC市場は今後も継続的な拡大が見込まれており、ニッチな商品や高品質な日本製品を持つ中小企業にとって大きな可能性を秘めています。
②グローバル市場参入の戦略
まずは市場分析を行い、ターゲット顧客の解像度を上げてアプローチを検討します。参入時は以下4つの戦略が重要になります。
- 配送料などの各種経費込みで利益を確保できる「価格戦略」
- 消費者の購買プロセスを理解し、フェーズごとに最適化した「プロモーション戦略」
- 適切な販売場所と輸送手段を選択する「流通戦略」
- 海外での需要と希少性が高く、競争力のある商品を選択する「商品戦略」
③最新の各国貿易規制と対策
世界的にデミニミス制度(少額輸入貨物の免税規定)の廃止・縮小が進む中、越境EC事業者には各国の法規制や関税への迅速な適応が求められています。特にリソースが限られる中小企業においては、自社のコア戦略に注力するためにも、最新動向に精通した実績豊富な物流パートナーとの連携を検討することが、持続的な成長への近道となります。
2. DHLジャパン株式会社|Eコマースの新しい競争軸:体験・信頼・価値観から考えるサステナビリティへの現実的な一歩
「サステナビリティの重要性は理解しているが、どこから手を付けるべきか」「周囲の理解を得るのが難しい」といったEC事業者の悩みに対し、現実的に取り組める脱炭素へのアプローチを解説いただきました。

DHLジャパン株式会社 グリーンサプライチェーン推進責任者 小島 浩嗣 様
①Eコマースの新しい競争軸
ECにおいて高品質なサービスや価格優位が当たり前になっている現在、差別化を図る新しい競争軸でアプローチする必要があります。
- 配送・返品の利便性や決済の多様化、AIによるパーソナライズといった「体験」
- 情報の透明性やソーシャルコマースの活用を通じた、ユーザーとの「信頼」
- サステナビリティ(持続可能性)への取り組みなど、企業の姿勢に対する「価値観の共有」
②サステナビリティは価値観の競争軸
EUによる環境規制の影響で、SAF(持続可能な航空燃料)の混合義務化や、輸入品のCO₂排出を確認する仕組みなど、サプライチェーン全体の環境対応が求められています。商品の素材だけでなく、運ぶときにどれくらいCO₂が出たのかを求められるケースも増えており、物流の選び方そのものが評価対象になっています。
③DHL GoGreen Plus
DHLの「GoGreen Plus」は、SAF(持続可能な航空燃料)を用いて従来の燃料よりCO₂を最大80%削減するサステナブルな配送です。環境配慮が求められる今、このような環境対応配送は簡単かつ確実で、すぐに効果が出る施策です。購入者の方がDHLを選択すると追加料金なしで自動的にGoGreen Plusが適応されるしくみになっています。
3. 越境サブスクリプションの始め方と戦略は?
越境EC参入にあたり、多くの事業者が直面するのが「自社配送か外部委託か」という選択です。本セッションでは、売上拡大後もあえて自社配送を継続している実例を挙げ、その戦略的意図を深掘りしました。
世界へボカン株式会社 代表取締役 徳田 祐希 様
株式会社SlowLife 代表取締役 濵本 悠路 様
①なぜ、自社配送を選び続けるのか?
自社配送は、配送料や関税ルールの変更に柔軟に対応でき、独自の梱包等を通じてブランドの世界観を直接届けられるというメリットがあります。特にサイズ、色、デザインなど、管理すべきバリエーションが膨大な商品(高SKU)を扱う場合、外部委託によるコストを抑えるためにも、自社配送なら収益性と品質管理を両立できます。
②株式会社SlowLifeに学ぶブランド戦略
同社のデニムブランド「The Strike Gold」は、ジーンズの経年変化を視覚化した写真を掲載し、売上を伸ばしました。日本企業が「当然伝わっている」と考える部分も、海外顧客に伝わっていない場合があるため、商品価値を徹底的に言語化・視覚化するブランド戦略が重要です。
③リスクへの覚悟と運営体制の構築
自社配送の場合、外部委託のシステム化だけでなく、自社でリスクを背負う覚悟が不可欠です。想定外の配送トラブルや制度変更に対し、即座に対処できる体制を整えることが安定した自社配送の土台となります。
4. パネルディスカッション|2026年の物流トレンドと、リスクに強いビジネスモデル設計
パネルディスカッションでは、最新の物流トレンドや日本企業が直面するリスク、戦略的な物流展開のポイントを深掘りしました。「早さ・安さ・安心感」が不可欠な現在の越境ECにおいて、リスクマネジメントを徹底したビジネスモデルの重要性が浮き彫りとなりました。
株式会社ECMSジャパン 代表取締役社長 小松 英樹 様
株式会社OCS 取締役(事業部門担当) 相良 孝輔 様
ルフトハンザ カーゴ AG 西日本地区統括部長 鈴木 伸一 様
ヤマト運輸株式会社 グローバル購買部 神田 直浩 様
ZenGroup株式会社 代表取締役 コーピル・オレクサンドル
5. おわりに|参加者の声から見えた、越境EC市場への期待と意欲
盛況のうちに幕を閉じた本セミナー。参加者の皆様からは「複雑な市場環境を読み解くヒントを得られた」という多くの反響をいただきました。以下にてアンケートに寄せられたお声の一部を抜粋してご紹介します。
- 情報収集の段階でしたが、越境ECの全体像がイメージできて有益でした。
- EC市場の全体概況や、デミニミス制度などをインプットすることができました。
地域によるカテゴリトレンドは大変興味深かったです。 - 越境EC関連のセミナー参加は今回初めてでしたが、海外事情に触れることができ、勉強になりました。
ご来場、ご視聴いただいた皆様に、改めて心より感謝申し上げます。
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