目次
- 「ECでの海外展開」を検討するべき理由
- ECサイトの海外展開における障壁
- リスクを抑えて海外市場へ挑戦:越境ECバナーサービス
- 自社ECサイトで海外進出!売上を最大化するコツ
- まとめ:戦略的なサイト運営で、ブランド価値を高める
日本のマーケットは、人口減少や少子高齢化などの要因によって縮小傾向にあります。統計局の調査では、2024年の総世帯消費支出が減少していることが明らかになりました。
こうした国内市場の縮小を受け、新たに海外展開を考える日本企業が増えています。その中で注目を集めるのが、日本にいながら海外の消費者に商品を販売できる「越境EC」です。
越境EC市場に参入する方法としては、海外ECモールへの出店や海外向けECサイトを構築する方法などがあります。一方で、よりリスクを抑えて出店する方法として、既存の国内向けECサイトを海外対応させる方法もあります。
本記事では、国内向けECサイトを海外対応させる「越境ECバナーサービス」について解説します。サービスの特徴やメリット、そして売上最大化のコツまでご紹介します。

1. 「ECでの海外展開」を検討するべき理由
1-a. 日本国内の市場が縮小傾向にある
2024年の日本の総人口は約1億2,374万人で、2009年以降14年連続で減少しています。
この減少傾向は今後も続くことが予想されており、現状のまま推移した場合、2048年には約9,913万人程度になると推計されています。※1
人口が減少する一方で高齢化率は上昇しており、2024年には過去最高を更新しました。「生産年齢人口」と呼ばれる15歳から64歳までの人口は1995年をピークに大幅に減少しており、積極的な消費行動を行う世代が減ることで、経済が停滞することも懸念され、日本市場を取り巻く大きな問題となっています。
人口減少や物価高などの影響を受け、国民の消費支出が減少していることが明らかになりました。統計局のデータによると、2024年の総世帯および単身世帯の消費支出は実質1.6%減少しています。※2
※1 内閣府:第2章 人口・経済・地域社会の将来像(1)総人口 ●将来推計
※2 総務省統計局:家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要
1-b. 世界の越境EC市場が急速に拡大している
海外に目を向けると、世界の総人口は増加を続けており、2024年時点で約82億人の人口が、2050年には約97億人にまで増加するものと予測されています。※3
また、世界の携帯電話普及率も上昇しており、国際電気通信連合(Interna億Telecommunication Union)の調査によれば、2022年時点で世界の10歳以上人口の78%が携帯電話を所有しており、ヨーロッパ・CISでは93%、アメリカでは88%、アラブ諸国では82%と高い所有率を示しています。※4
こうした人口の増加と携帯電話の普及は、越境EC市場の成長に大きく寄与しています。
世界の越境ECの市場規模は、2021年時点で7,850億USドル、2030年には7兆9,380億USドルにまで達すると予測されています。
年間の平均成長率は約26.2%と推計され、今後も市場の拡大が見込まれています。※5
※4 International Telecommunication Union:Facts and Figures 2023
※5 経済産業省:令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書
1-c. 日本製品が海外から高い評価を受けている
日本は世界的人気を集める有数の国となり、国家ブランド指数2023では日本が初めて首位に立ちました。
「輸出」の指標では、科学技術への貢献、クリエイティブな場所であること、製品の魅力という3つの項目全てにおいて1位を獲得するなど、日本の製品は海外から高い評価を受けていることがわかります。
さらに、インバウンド需要の増加も越境EC市場に多大な影響を与えています。日本政府観光局(JNTO)によると、2024年の年間訪日外客数は前年比47.1%増、過去最高であった2019年比15.6%増と、年間過去最高を更新しました。※6
旅行中に日本製品の魅力に触れた訪日客がSNSで「Made in Japan」を発信し、日本製品は世界からますます注目されています。また、観光客が帰国後にリピート購入する「旅アト消費」も増えており、越境ECを促進させる大きな要因となっています。
2. ECサイトの海外展開を阻む障壁
2-a. 言語の違い
越境ECにおいて、ターゲットは海外に住むユーザーです。そのため、ECサイトの構築・出品はもちろん、購入者とのやりとりやトラブル時の配送会社、税関とのやりとりなどは現地の言葉で行う必要があります。
2-b. 国際配送・法律
国や地域によって異なる配送方法や法律(税関)に対応する必要があります。禁制品は国によって異なり、1回あたりの取引額の上限が決められている場合もあります。
同一の国宛であっても、荷物のサイズや重量によって配送に制限がかかることもあるため、内容物や寸法などをその都度確認しなくてはいけません。
2-c. 国際決済
主流な決済方法は国や地域によって異なるため、越境ECを展開し、快適な購入体験を提供するためには現地のニーズに即した決済方法に対応することが望ましいです。適切でない決済方法はいわゆる「カゴ落ち」を招き、販売機会の損失に繋がりかねません。
また、リスクの観点から考えると、海外からの不正決済への対策も越境ECにおいて大きな課題です。2024年のクレジットカード不正利用被害額は過去最高の555億円に達したと報告され、そのうち偽造被害額の約7割が海外からの被害額であると報告されています。販売を始める前に、セキュリティ対策を講じることが不可欠です。※7
※7 一般社団法人日本クレジット協会:クレジットカード不正利用被害の発生状況
2-d. 集客の壁
国内向けEC同様、越境ECでの販売においても「自社のサイトを訪れたユーザーに対して商品を販売」します。
つまり、売上を伸ばすためには参入国での認知を高めることが必須事項です。市場のニーズや競合を十分に調査し、SNSや広告などを活用した効果的なマーケティングを行うことは、長期的なサイト運営において欠かすことのできない大切なポイントです。
このように、海外販売をスタートさせる際には言語の壁や決済の壁などの様々な課題に直面しますが、それぞれの課題に適切な対策を講じることでリスクを最小限に抑え、スムーズに、そして長期的に海外展開を始めることが可能になります。
3. リスクを抑えて海外市場へ挑戦:越境ECバナーサービス
世界に向けて販売をスタートさせるためには、いくつかの方法があります。
海外ECモールへの出店や海外向けECサイトを構築する方法など、新たに海外ユーザー専用の販売窓口を設置する必要があると思われるかもしれません。
しかし、ベンダーが提供する越境ECバナーサービスを導入すれば、既存の国内向けECサイトを簡単に越境化することが可能です。
顧客対応や国際配送、決済などはベンダーが対応するため、大きな予算や手間をかけることなくリスクを抑えた運用ができます。
また、本格的な海外進出のためのテストマーケティングとしても有効です。
3-a. 越境ECバナーサービスとは
越境ECバナーサービスは、既に運用している国内消費者向けのECサイトを、海外の消費者にも快適に利用してもらうためのツールです。
ベンダーによって詳細は異なりますが、ECサイトにタグを埋め込むことで、海外ユーザーからのアクセスに反応して海外専用バナーが表示され、ユーザーはバナーを経由して購入できるようになる、という仕組みです。
ZenGroup株式会社が提供する「ZenLink」では、海外ユーザーがサイトへアクセスした時のみ、サイト上に専用バナーが表示され、サイトの表示言語を19言語で設定できるようになります。また、購入時には海外対応の決済方法と配送方法が選択できるようになります。
3-b. 自社ECサイトを越境対応させるメリット
既存のECサイトを越境対応させるメリットとして、スモールステップで海外展開できることが挙げられます。
海外向けのECサイトを新たに作る場合、相応の予算や時間をかけることになるため、運用後にターゲット国や商材を変更することは困難です。そのため、入念に市場調査を行い進出国や商品の選定を行う必要があります。
低予算でECサイトを制作することもできますが、デザインや機能の拡張性が低いことも多く、自社サイトで海外展開することの強みを十分に活かしきれない可能性があります。
他社との差別化を図るためには柔軟なデザイン設計が叶う拡張性の高いシステムを使用することが推奨されますが、サービス料が高額になり、数十万~数百万円かかることも一般的です。
一方バナーサービスは、導入までの手間と時間をかけずに導入することができるだけでなく、サイト構築と比較して大幅にコストを抑えて海外に販路を拡大することができます。
また、自社オリジナルのサイトをそのまま活用するため、ブランドがもつ世界観を損なうことなく表現でき、コンセプトを海外ユーザーに伝えることが可能です。日本国内で提供されているサイトにアクセスすることは、「日本から購入する」という体験を楽しむユーザーにとって、嬉しいポイントの一つだと言えるでしょう。
多くのメリットがありますが、現地ECモールと比較すると海外ユーザーの集客が難しい傾向にあることが課題として挙げられます。
例えば「Amazon US」などは、既にモールそのものに集客力があります。もちろん、モール内には数多くの競合他社がいるため、自社の商品や出店ページを見てもらう工夫を施す必要はありますが、モールそのものにユーザーが集まる仕組みは十分に整っています。
そのため、自社ECサイトで海外市場に挑戦する場合には、ターゲット国での認知度を向上させる工夫を施し、サイト訪問者を一定数確保することが欠かせません。
3-c. おすすめのバナーサービス3選!
- ZenLink
ZenGroup株式会社が運営する集客支援型越境ECバナーサービスです。175の国と地域への配送実績があり、19言語に対応しています。
タグを一行挿入すると、海外ユーザーはバナーの表示言語を19言語から選択可能に。また、決済時にはクレジットカード、PayPal、銀行振込をはじめ、暗号通貨やローカルなコンビニ払いなど、100種類に及ぶ方法を利用することができます。
ZenLinkがマーケティング、カスタマーサポート、海外配送、決済対応を代行するため、国内の販売と同じスキームで、簡単に海外販路の拡大が可能です。初期費用や月額費用は不要、販売手数料は売上の10%のみ。
マーケティングサービスやダッシュボード利用も無料で、売上を最大化するために現地の知見を備えたネイティブマーケターがマーケティングを担当。売れる前から売れた後まで、一貫して支援します。
- BuyeeConnect
https://service.beenos.com/buyeeconnect/
BeeCruise株式会社が運営する越境ECバナーサービスです。19言語に対応し、業種を問わず6,000件の利用実績があります。
自社サイトにタグを一行埋め込むだけで海外からのアクセスにも対応可能になります。海外ユーザーから注文が入ったら、Buyeeが代理でサイトから購入するため国際配送・海外決済・多言語CS・海外規制対応などは一切不要。
国内の販売と同じスキームで、簡単に海外販路の拡大が可能です。販売手数料、初期費用、月額費用は不要で海外展開をスタートできます。
オプションサービスとして、ダッシュボード機能も無償で提供しています(別料金)。
- WorldShopping BIZ
https://www.worldshopping.biz/about
株式会社ジグザグ.が提供する越境ECバナーサービスです。英語・簡体字・繁体字・韓国語・日本語に対応しています。
自社サイトにタグを一行埋め込むと、海外からのアクセス時に「多言語ナビゲーション」「かな入力が不要なフォーム」などが表示されます。そして、ユーザーはWorldShopping専用カートで注文ができるようになります。WorldShoppingが代理で購入手続きを行うため、出店者は国際配送・海外決済・カスタマーサポート、海外規制の対応などが不要です。
初期費用33,000円(税込)、月額費用5,500円(税込)必要ですが、売上手数料とダッシュボード機能が無料で利用できます。
4. 自社ECサイトで海外進出!売上を最大化するコツ
売上を最大化するためには、データに基づいた戦略的な思考が求められます。
そこで活用したいのがダッシュボード機能です。ダッシュボードとは、グラフや分布図などを一画面上で確認できるツールのことで、ひと目で売上や顧客に関するデータを把握することができます。
世界をターゲットにする越境EC市場においては、国内販売で培った「経験」や「勘」に固執することが裏目に出てしまう恐れがあります。「こんなものが売れるの?」と予想に反して販売実績が伸びることも珍しくありません。現状のデータと向き合い客観的に分析することで、新たな市場でも戦略的にビジネスを展開することができます。
また、海外ユーザーの視点でマーケティングを行うことができるネイティブマーケターに集客支援・販売支援を頼むことも、売上を伸ばす効果的な方法の一つです。国や地域が異なれば、言語だけでなく、文化や思考も大きく異なります。
現地の言葉に翻訳することはもちろん、より海外で刺さるデザインやコンテンツなどを届けることで、課題である「集客の難しさ」を克服し、他社との差別化を図ることも可能になります。
5. まとめ:戦略的なサイト運営で、ブランド価値を高める
日本市場が縮小傾向にある一方、世界人口の増加や携帯電話普及率の向上などの要因から越境ECの市場規模は急速に拡大を続けています。
海外進出を検討する上で、今の世界情勢はまさに追い風と言えるでしょう。
海外市場に挑戦するにあたって生じる言語や国際配送、決済、集客などの障壁を取り除くためには、適したサービスを導入することが求められます。なかでも、バナーサービスは既存のECサイトをそのまま活用することで、リスクを抑えつつ自社の強みを最大限に活かした販売が可能になる優れたソリューションです。
ダッシュボード機能やマーケティングサポートを駆使して、データに基づいた戦略的なサイト運営を続けることで、未来の売上や認知度、さらにはブランド価値が高くなるでしょう。
集客支援型越境ECバナーサービス「ZenLink」は、現在利用中の国内向けECサイトをそのまま活用し、越境対応を可能にするソリューションです。ダッシュボード機能に加えて、海外のネイティブマーケターによるプロモーションも無料です。
越境EC支援に精通したチームが、購入前の現地でのマーケティングから購入時の国際決済・国際配送、法律規制に関する対応、カスタマーサポートまで一貫して支援します。
ご興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。