2025/08/27
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越境ECにおいて売れる商品の条件|「越境ECの未来を考える」オープニングセミナー【後編】 1分で読めます
越境ECにおいて売れる商品の条件|「越境ECの未来を考える」オープニングセミナー【後編】 1分で読めます

2025年2月20日、ZenGroup株式会社(以下ZenGroup)主催の「越境ECの未来を考える 2025」を開催しました。本イベントでは「Used in Japan」をテーマとし、業界をリードする企業の皆様によるセミナーとパネルディスカッションが行われました。

近年、世界的にサステナブルな消費やエシカルな購買が重視されるなか、日本のリユース市場はますます注目を集めています。日本の中古品は品質の高さ、丁寧なメンテナンス、豊富な流通量といった特徴から、海外からも高い信頼を得ています。

そこで越境ECをトータルサポートするZenOneでは、全二回にわたり、登壇セミナーでZenGroup代表コーピル・オレクサンドルがお話しさせていただいた内容をわかりやすくご紹介していきます。

第二回目となる今回は、「売れる商品の条件」についてご紹介いたします。

目次

  1. 販売商品の期待と現実
  2. 海外顧客にとっての「購入コスト」
    1. 時間的コスト
    2. 送料コスト
    3. その他のコスト
  3. 障壁を超える「希少性」
    1. 越境EC市場における希少性
    2. 数量の希少性
  4. 購入コストと希少性の関係
  5. まとめ

 

1.販売商品の期待と現実

ZenGroupとして事業を始める前、日本の越境EC市場で売れる商品は電化製品や自動車部品、伝統的な和風商品だと予想していましたが、現実は予想とは大きく異なりました。

実際には、フランス人が日本からLouis Vuittonのバッグを、そしてオーストラリア人は日本からK-POPグッズを購入していました。越境EC市場で売れている商品カテゴリーには、理由があります。その理由を理解するためには、単なる市場データだけではなく、消費者の心理を深く理解することが必要です。

 

2.海外顧客にとっての「購入コスト」

2-a. 時間的コスト

一つ目の大きな障壁は「時間」です。
「2週間にわたって毎日20分、20ページにも及ぶオークションをチェックして、興味のある商品に入札していました。オークションの終了時間はアメリカの午前6時~7時頃なので、仕事に行く前に毎朝チェックしていました。」これは、ZenMarketユーザーのリアルなコメントです。

このように、越境EC市場では「欲しいものをすぐに買える」わけではなく、購入プロセス自体に時間がかかるという点が、顧客にとっては大きな負担になっています。

 

2-b. 送料コスト

もう一つの大きな障壁は「送料」です。
越境EC市場において、海外送料は国内送料よりも割高に見えやすいという問題があります。たとえば、アメリカのAmazonではPrime会員はほとんどの商品の送料が無料になっています。送料は商品価格に含まれているため正確には無料ではありませんが、消費者には「無料」に見えています。一方、弊社のアメリカ在住顧客は、平均して9,900円の送料を支払っています。

顧客は、無料に見える国内送料と9,900円の海外送料を無意識に比較し、国際送料が非常に高く感じられるという心理的なハードルが生まれています。

 

2-c. その他のコスト

その他に、関税、言語、見慣れないUI/UX、決済トラブル、長い配達時間なども「購入コスト」という言葉にまとめられる障壁として挙げられます。

これらの購入コストをいかに下げるかが、越境EC市場において売上を伸ばすための重要なカギです。この購入コストの壁は、全ての商品が超えられるわけではありません。この壁を乗り越えるためには、商品に際立った特徴が求められます。それを端的に表すなら「希少性」です。

 

3. 障壁を超える「希少性」

3-a. 越境EC市場における希少性

越境EC市場における「希少性」には2つの意味があります。

1つ目は、文字通り商品が希少であること(=数量の希少性)を表します。つまり、自国で買いたくても買えないという状況を指します。需要が多い一方で供給が少ないために、商品が希少になるというケースです。

2つ目は、価格から生じる希少性を意味します。これは、自国でも購入できるが日本で購入した方が圧倒的に安いという場合に発生します。日本で安く買えること自体が希少で、それが購入の動機につながります。

 

3-b. 数量の希少性

この「数量の希少性」を持つ商品として、アニメ関連商品を例に挙げます。

日本のアニメ・漫画文化は世界中で流行していますが、その関連グッズの流通には「版権」という障壁があり、海外では、一部の公式ライセンス商品しか販売されていません。さらに、アニメグッズの多くは受注生産方式によって生産されており、海外の需要には十分に対応することができません。結果として、アニメグッズの希少性はさらに高まることになります。

海外向けに版権を取得してアニメグッズを販売する試みもありますが、「流行の移り変わりの速さ」という新たな問題が発生します。アニメ・漫画文化は流行が一瞬で変わるため、海外で大量販売をするにはリスクが大きくなります。海外のファンは日本の流行に敏感で、数ヵ月の遅れはあるものの、基本的に日本と同期してトレンドが変わっていきます。その結果、世界中に潜在顧客がいるにもかかわらず、最新グッズは数量限定で、しかも日本でしか購入できないという状況になっています。

このような状況において、中古品は新品のような版権の制約を受けづらく、受注生産で流通したフィギュアも、オークションやフリマアプリを通じて、比較的良い状態で再販されています。このため、アニメ商品は中古品の状態でも越境EC市場で非常によく売れるという特徴をもっています。

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