2025/05/27
戦略
ペットフード越境EC完全ガイド|海外に売るための戦略・市場・手続きまで徹底解説 3分で読めます
ペットフード越境EC完全ガイド|海外に売るための戦略・市場・手続きまで徹底解説 3分で読めます

目次

  1. 世界のペットフード市場動向と成長性
    1. 中国市場:プレミアム化と「エンプティネスト」
    2. 東南アジア市場:拡大する中間層と消費意欲
    3. 欧米市場:健康志向とサステナビリティ
    4. 成長をけん引するカテゴリ:ウェット・プレミアム・機能性
  2. なぜ今「越境EC × ペットフード」なのか?
  3. ターゲット国別の販売戦略と消費者傾向
    1. 中国:爆発的な需要と「エンプティネスト」世代の購買力
    2. 東南アジア:成長中の中間層とブランド志向
    3. 北米・欧州:価値観重視の成熟市場
  4. 販売チャネルの選び方と主要プラットフォーム比較
    1. モール型プラットフォーム:市場アクセスの速さが魅力
    2. D2C型:ブランド価値を最大限に伝える手段
    3. 自社ECサイト:自由度と利益率の高さが魅力
  5. ペットフード輸出に必要な規制と手続き
    1. 中国:輸出入の許認可が複雑な最難関市場
    2. 東南アジア:輸入規制はあるが、比較的柔軟
    3. 北米・欧州:成分規制とサステナビリティ要求
    4. 輸出実務のポイントとサポート体制
  6. まとめ~海外に売れるペットフード事業への第一歩~

 

世界のペット市場は、今まさに大きな転換期を迎えています。都市化の進行やライフスタイルの変化を背景に、特に中国や東南アジアの新興国では、ペットが「家族の一員」として迎えられ、その生活の質を高めるために高品質なペットフードが求められる時代になりました。

こうした背景の中、日本製のペットフードは「安心・安全・高品質」という点で大きなアドバンテージを持っています。添加物を抑えた原材料、衛生的な製造環境、そして信頼性のあるブランドストーリー。これらは、健康志向やプレミアム志向が高まる海外のペットオーナーから強く支持されています。

さらに、コロナ禍以降のオンライン消費の定着により、越境ECは海外の消費者に直接アプローチできる販売チャネルとして不可欠な存在となっています。従来の輸出モデルに比べて、スピーディに市場反応を見ながら販売できるのが大きな魅力です。D2C(Direct to Consumer)型のアプローチで、自社の世界観や価値観をダイレクトに届けることも可能になりました。

本記事では、越境ECを活用してペットフードを世界に届けるために必要な市場知識、販売戦略、成功のポイントを体系的に解説していきます。

 

 

1. 世界のペットフード市場動向と成長性

世界のペットフード市場は、ここ数年で急速に拡大しており、今後も継続的な成長が見込まれています。特に注目すべきは、経済発展が進む新興国におけるペットの「家族化」現象と、それに伴う高品質なペットフードへの需要の高まりです。

 

1-a. 中国市場:プレミアム化と「エンプティネスト」

中国では少子高齢化や単身世帯の増加により、ペットを家族として迎える層が拡大しています。都市部を中心に、子どもに代わる存在として犬や猫を飼う高齢者・若年層が急増し、「エンプティネスト(空の巣)」世帯がペット産業の成長をけん引しています。

特にペットフードに関しては、安全性や栄養バランスが重視され、オーガニックやグレインフリー、アレルゲンフリーといった高付加価値商品のニーズが高まっています。

 

1-b. 東南アジア市場:拡大する中間層と消費意欲

インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナムといった東南アジア諸国でも、都市部を中心に中間層が拡大し、可処分所得の上昇とともにペット関連支出が増加しています。これらの国々では輸入品に対する信頼感も高く、日本製ペットフードは「高品質」の代名詞として評価されています。市場としてはまだ発展途上ながら、成長ポテンシャルは非常に大きい地域です。

 

1-c. 欧米市場:健康志向とサステナビリティ

欧米ではペットフード市場がすでに成熟している一方で、健康志向と環境意識の高まりが購買行動に大きな影響を与えています。植物性原料の使用、クリーンラベル(添加物削減)、持続可能なパッケージなどが重視されており、これに対応できる商品は競争力があります。さらにD2Cブランドの成功例も多く、世界観やストーリーを重視する消費者が増えている点も特徴です。

 

1-d. 成長をけん引するカテゴリ:ウェット・プレミアム・機能性

全体として、ドライフードからウェットフードへの嗜好変化が見られ、食感や香り、栄養吸収を重視する消費者が増加しています。また、関節ケア、皮膚・被毛改善、消化サポートなどの機能性フードも高い関心を集めており、単なる食事ではなく「健康を支える手段」としてペットフードが選ばれる時代に移行しています

このように、世界中でペットへの支出が拡大し、かつ「安心・安全」「高機能性」が重視されるなか、日本のペットフードが持つ品質の高さは大きな武器になります。越境ECを活用することで、これらの市場ニーズにダイレクトに応えることが可能です。

 

 

2. なぜ今「越境EC × ペットフード」なのか?

日本国内のペット市場は成熟期に入りつつあります。飼育頭数は伸び悩み、高齢化や単身世帯の増加により、市場全体としては横ばいもしくは緩やかな縮小傾向にあります。一方で、ペットへの支出単価は上昇しており、品質や健康面への意識が高まっていることがうかがえます。

しかし、国内市場だけでの成長には限界があるのも事実です。その打開策として、多くの事業者が「海外展開」、特に越境ECに注目しています。

越境ECが注目される最大の理由は、需要が確実に存在し、かつ拡大している海外のペットフード市場に、インターネットを通じて直接アクセスできるという点にあります。従来のように代理店やバイヤーを介さず、自社のブランドやコンセプトをダイレクトに海外の消費者に伝えることが可能です。特にD2C(Direct to Consumer)の形態は、小規模な事業者でもスピード感を持って参入できる柔軟なモデルとして支持されています。

加えて、日本製ペットフードは「安全・衛生・信頼性」の象徴として海外の飼い主から高く評価されています。国産原料、無添加処方、厳格な製造管理など、他国と比べても品質基準が高く、特に健康志向が強い中国・東南アジア・欧米の市場では差別化の武器になります。

例えば、食物アレルギーを持つペット向けの限定原料フードや、関節ケア・毛並みケアなどの機能性を備えた商品は、プレミアムセグメントで人気を集めています。

タイミングとしても、コロナ以降の生活様式の変化により、オンライン購入がスタンダード化した今が越境EC参入の好機です。物流の最適化や、ECプラットフォームの進化により、かつて越境取引の壁とされた「関税」「配送コスト」「言語」「決済」などのハードルも年々下がっています。小規模なブランドでも、戦略次第で大きな成果を上げることが可能です。



3. ターゲット国別の販売戦略と消費者傾向

越境ECでペットフードを展開する際、ターゲットとなる国ごとの文化・購買行動・市場成熟度を正しく理解することは非常に重要です。各国の消費者が何を重視し、どのように商品を選んでいるかを知ることで、販売戦略はより効果的になります。
ここでは主に、中国、東南アジア、北米・欧州の3つの市場に焦点を当てます。

3-a. 中国:爆発的な需要と「エンプティネスト」世代の購買力

中国市場では、都市部を中心に「ペット経済第三世代」と呼ばれる層が消費の中心になっています。子どもを持たないDINKs世帯や「エンプティネスト」と呼ばれる高齢世帯が、ペットに対して惜しみない愛情と支出を注ぐ傾向にあります。

また、食の安全性への関心が高く、「日本製=安心・安全」というブランドイメージが確立されているため、高価格帯の商品でも受け入れられやすい土壌があります。販売戦略としては、原材料の透明性や製造工程の清潔さを可視化し、動画・レビューで伝えることが効果的です。

加えて、Tmall GlobalやJD Worldwideなどのプラットフォームを活用する際は、KOL(インフルエンサー)との連携やライブコマース施策が欠かせません。中国ではSNSとECが一体化しているため、単なる出品ではなく「参加型体験」が求められます。

 

3-b. 東南アジア:成長中の中間層とブランド志向

インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナムといった国々では、可処分所得の増加に伴い、ペットフード市場が拡大しています。まだ輸入ペットフードの認知が途上である反面、「海外製=高品質」という先入観から、日本ブランドへの期待は高くあります。

特に若年層を中心に、SNSやレビューを通じて情報収集し、購買を判断する傾向があるため、ローカル言語での情報発信やInstagram・Facebook広告などが有効です。また、ShopeeやLazadaといった地域特化型ECモールの活用は、物流・決済面での障壁を下げる手段としても有望です。

価格帯はプレミアムすぎると購入のハードルがある一方で、「品質の割に高くない」というコストパフォーマンス訴求が鍵となります。

 

3-c. 北米・欧州:価値観重視の成熟市場

北米や欧州は市場として成熟しているものの、依然としてプレミアムフードの需要は根強く、特に健康や環境に配慮した商品が高く評価されています。オーガニック認証やグレインフリー、ベジタリアン対応など、ライフスタイルに合致した商品設計が重要です。

また、ストーリーテリングとブランディングが購買に大きく影響するため、「なぜこのフードが生まれたのか」「どんな哲学を持って作られているか」といった背景を丁寧に伝えることが求められます。自社ECやAmazonグローバルを活用しながら、口コミ・レビュー文化を促進する戦略が有効です。

 

 

4. 販売チャネルの選び方と主要プラットフォーム比較

越境ECでペットフードを販売する際、どのチャネルを活用するかは成功に直結する重要な要素です。出店する国や商品ジャンル、ブランディング戦略によって最適なチャネルは異なります。
ここでは、大きく3つに分けられる販売チャネルと、代表的なプラットフォームの特徴を比較しながら解説します。

4-a. モール型プラットフォーム:市場アクセスの速さが魅力

モール型の越境ECは、既に多くのユーザーが集まっており、商品を出品するだけで一定の認知と信頼を得られるのが最大のメリットです。特に新規参入者にとって、スタートダッシュを図るには有効な手段です。

主なモールと特徴

  • Tmall Global(天猫国際)
    中国市場向けの代表的な越境ECモール。審査は厳しいが、日本製品への信頼が高く、プレミアム商品の販売に適している。
  • JD Worldwide(京東国際)
    物流に強みがあり、高品質な商品を好む中国の富裕層をターゲットにするなら検討価値あり。
  • Shopee/Lazada
    東南アジア地域向け。現地ユーザーが多く、スマホ経由での購入が一般的。プロモーションやクーポン施策が集客の鍵になる。
  • Amazon(グローバルストア)
    北米や欧州市場で幅広い層にリーチできる。信頼性とレビュー文化を活かしやすい点が特徴。

 

4-b. D2C型:ブランド価値を最大限に伝える手段

D2C(Direct to Consumer)型は、自社が顧客と直接つながることで、ブランドの世界観や価値をストレートに届けられるモデルです。小規模でも差別化しやすく、ロイヤルカスタマーの育成に向いています。

D2Cを成功させるには、EC機能だけでなく、SNSやオウンドメディアを活用したコンテンツ戦略が重要です。商品紹介にとどまらず、「開発者の声」「ユーザーインタビュー」「ストーリー性のあるビジュアル」など、情緒的な要素を交えて顧客との関係構築を図ります。

 

4-c. 自社ECサイト:自由度と利益率の高さが魅力

Shopify、BASE、Magentoなどのツールを使えば、比較的簡単に自社ECサイトを立ち上げられます。自由なデザインや機能拡張が可能で、中長期的には最も利益率を高めやすいチャネルとなります。

ただし、トラフィックを自分で集める必要があるため、SEO、SNS、広告運用などのマーケティング施策が必須です。また、物流や関税対応を外部サービスと連携させる仕組みづくりも重要になります。

 

 

5. ペットフード輸出に必要な規制と手続き

ペットフードを越境ECで海外に販売する際には、「売る」ことだけでなく、「輸出する」ための法的手続きや規制を正しく理解し、準備する必要があります。国によってルールは異なりますが、いずれも共通して重要なのは「安全性・成分表示・輸送管理」です。
ここでは、主要市場における輸出要件と、実務面でのポイントを整理します。

 

5-a. 中国:輸出入の許認可が複雑な最難関市場

中国はペットフードに対して厳しい輸入規制を設けている国のひとつです。事前登録された製造業者・商品でなければ通関ができません。また、国家認可を受けた検疫・検査機関での証明書の発行も必要です。


主な要件

  • 輸出元の製造工場が中国当局(GACC)に登録済みであること
  • 成分内容や製品規格の提出、および翻訳済みのラベル表示
  • 商品によっては動物用飼料登録番号(輸入動物飼料登記証)が求められる

煩雑な申請が必要となるため、中国向けはまずTmall GlobalやJDなどの「保税区モデル」でスタートするのが現実的です。このモデルでは正式な通関をせずに保税倉庫経由で個人消費者へ販売が可能です。

 

5-b. 東南アジア:輸入規制はあるが、比較的柔軟

東南アジア諸国でも、ペットフードは「動物用製品」として輸出入規制の対象です。ただし、中国に比べれば規制は緩やかであり、現地代理店と連携することで許認可が取得しやすい傾向にあります。

注意点

  • 英語または現地語でのラベル表示(原材料、成分表、賞味期限など)
  • 原産国証明書・衛生証明書の提出
  • 輸出入に関する検疫の事前通知

インドネシア、ベトナムではハラール認証の取得が求められる場合があるため、成分や製造過程の透明性を確保し、相談できる専門商社や物流パートナーとの連携が重要です。

 

5-c. 北米・欧州:成分規制とサステナビリティ要求

アメリカや欧州では、消費者保護が強化されており、特定の成分に対する制限や認証義務が設けられています。たとえば、EUでは遺伝子組み換え原料(GMO)や一部の合成添加物が厳しく規制されています。

注意すべき点

  • FDA(米)やFEDIAF(欧)による成分基準の遵守
  • 「メイド・イン・ジャパン」表示の正当性
  • サステナブル素材・リサイクル対応の包装要件

欧米向けの場合は、信頼性と透明性を示す認証(オーガニック・ISOなど)や第三者検査の活用が、ブランディングと差別化の武器になります。

 

5-d. 輸出実務のポイントとサポート体制

  • 各国の規制対応に加えて、以下のような業務負担も生じます。
  • インボイス、パッキングリスト、原産地証明などの貿易書類作成
  • 関税分類(HSコード)の調整
  • 現地言語での商品説明・ラベルデータ作成
  • 税関対応やトラブル時の連絡体制

これらの業務をすべて内製化するのは現実的ではないため、越境EC支援企業や通関業者、専門の物流パートナーとの連携体制を早期に整えることが鍵となります。

 


6. まとめ~海外に売れるペットフード事業への第一歩~

ペットフード市場は世界的に成長を続けており、日本製品が持つ「安全性」「高品質」「信頼性」といった価値が、海外の消費者からますます求められる時代になっています。特に越境ECの環境が整った今、物流・決済・翻訳などのハードルが大幅に下がり、小規模事業者でも世界のマーケットに挑戦できる土壌が整っています。

重要なのは、「いい商品を作った」だけでは届かないということです。成功している事業者は、商品力に加え、どの市場に・どの価値を・どう伝えるかという戦略を丁寧に設計しています。ターゲット国の消費動向を理解し、ニーズに合った商品設計・パッケージ・訴求軸を考える。販売チャネルを見極め、マーケティング施策を実行する。そして何より、地道に続けていく覚悟と仕組み作りが求められます。

海外展開には確かにハードルもあります。しかし、それ以上に、日本のものづくりが世界に喜ばれるチャンスがここにあるのもまた事実です。大切なのは、最初の一歩を躊躇せずに踏み出すこと。今日からできることを始めることで、未来の売上やブランド価値は大きく変わります。
 

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