「日本の古着やアウトドア用品をもっと世界に届けたい。」そう語るのは、古着販売とアウトドア用品のリユース事業を展開する株式会社 MODEST LORDの金澤氏。
代表の金澤様(左)、「山エコ」担当の井上様(右)
越境販売には以前から興味があったものの、なかなか踏み出せていませんでした。しかし、同業者から「越境販売を始めて成果が出ている」という声を耳にするようになり、海外市場の可能性を改めて実感しました。日本の品質の高い古着を届けるだけでなく、起爆剤としてアウトドア用品にも着目し、越境ECモール「ZenPlus」を活用して新たなチャネルの開拓を目指しています。代表取締役の金澤氏に、越境販売への取り組みと展望について伺いました。
ー この事業を立ち上げた経緯はどのようなものですか?
もともと古着屋で働いていましたが、独立を考えていたわけではありません。
古着屋を辞めて東北に戻ることを決めた際、その古着屋の社長から「商売を分けてあげるから、試してみたら?」と声をかけてもらいました。それがきっかけで東北に戻り、ネットで古着の販売を始めることに。
当時はちょうどネット販売が伸びている時期で、古着をオンラインで販売したところ、順調に売上が伸びました。その流れで2年後には法人化しました。
お世話になった社長の言葉が、この事業の出発点となり、現在の形へとつながっています。
ー MODEST LORDさんの強みを教えていただけますか。
弊社の強みは、商品の「見せ方」にあります。
特にアパレル商品は見た目が重要で、写真次第で商品の魅力の伝わり方が大きく変わります。古着は一品ごとに状態や雰囲気が異なるため、撮影には特に気を配っています。
写真では「かっこいい」「かわいい」といったイメージを意識し、お客様に「欲しい」と思っていただけるようなビジュアルを追求しています。
見せ方にこだわることで商品価値を高め、他社との差別化を図っています。
ー アウトドアのリユース市場を切り拓く「山エコ」についても教えてください。
私はスキーを趣味にしていますが、過去にスキー用品一式を中古で揃えようとした際、ほとんど見つからず困った経験がありました。新品を購入するにはかなりの金額がかかるため、この分野でもリユース市場があれば良いと考え、「山エコ」を立ち上げました。
「山エコ」では、スキー、登山、キャンプ用品を中心としたアウトドア用品のリユースに取り組んでいます。このジャンルは利益率が高いわけではありませんが、取り組んでいて楽しく、やりがいを感じています。
今後も少しずつ事業を広げていきたいと考えています。
ー 海外展開を始めようと思われたきっかけは?
越境販売には以前から興味を持っていました。海外市場には大きな可能性を感じており、「面白い」「やってみたい」という気持ちがありました。しかし、検討していた他社の越境販売サービスではコスト面が課題となり、実際に始めるまでには至りませんでした。
越境販売には、商品の輸送コストやアパレル特有の返品リスクといった大きな課題があります。特にアパレル分野では、これらの問題が障壁となり、本格的に取り組むのが難しいと感じていました。
一方で、私は情報収集を重視しており、越境販売に関する動向を常にチェックしていました。ここ2年ほどで、東京や大阪のアパレル企業が他社の越境サービスを活用して成功しているという話を耳にする機会が増えました。それまで時計やバッグといったジャンルが越境販売に向いているとされていましたが、アパレル分野でも結果を出している事例が増えていると知り、再び興味が高まりました。
私は「二番煎じ」が好きなタイプです。他社の事例や動向を参考にし、タイミングを見計らって新たな挑戦を始めるのが自分のスタイルです。越境販売についても、成功事例が増えたことから「そろそろ自分たちも取り組む時期ではないか」と考えるようになりました。
ー ZenPlusを導入した背景は何だったのでしょう?
ZenPlusへの出店を決めた理由は、越境販売の課題を解消し、自分たちが気づかなかった可能性を教えてくれる点、そしてトータルで任せられるサポート体制が魅力的だったことにあります。
特に、商品の配送や顧客からの問い合わせ対応まで、一括して任せられる仕組みは非常に助かります。越境販売は国内販売以上に対応が煩雑になるため、トータルサポートの存在が大きな安心感を与えてくれました。
越境販売では窓口が多いほど有利だと考えています。
さらに、ZenPlusを通じて、自分たちでは気づかなかった市場の可能性を知ることができたのも大きな決め手でした。たとえば、アウトドア用品が海外で人気だと聞いたときは意外でした。これまで越境販売といえば、ブランド古着が主力商品だと思っていたため、想像もしなかったジャンルが注目されていると知り、大きな発見になりました。そうした市場の広がりを教えてくれることが、ZenPlusの魅力だと感じています。
また、最近ではアパレル分野でも「売れる」という声を聞くようになり、海外市場への挑戦を後押しされました。今後もZenPlusを活用しながら、新しい可能性をさらに探求していきたいと考えています。
ー どのような企業様にZenPlusはおすすめでしょう?
ZenPlusは、海外市場への販売を目指す企業にとって非常に有益なプラットフォームです。特にアパレルやアウトドア用品を扱う企業には強くおすすめしたいと考えています。
日本の古着は、状態が良く、品質の高さに定評があります。海外では「Made in Japan」の信頼性が高く、特にファッション分野では日本の古着に対する需要が増えています。
たとえば、渋谷や新宿などインバウンド率の高いエリアでは、観光客が日本の古着を好んで購入する光景が日常的に見られます。しかし、ECでの越境販売は観光とは異なり、観光中の「財布のひもが緩んでいる」状態とは違うため、オンラインで購入してもらうための戦略が重要です。
ZenPlusは、そうしたオンライン市場において、日本のアパレルブランドや古着業者が海外に販売チャネルを広げるための強力なツールです。これからさらに力を入れれば、アパレル分野での売上は大きく伸びる可能性があります。
アウトドア用品に関しては、タイをはじめとする東南アジアで需要が高まっています。タイではキャンプ文化が広がりつつあり、日本の高品質なキャンプ用品への関心も高まっています。一方で、日本国内ではキャンプブームが一段落しており、メーカーや販売業者が市場縮小に苦しんでいる状況です。
ZenPlusは、そうした企業にとって海外市場への架け橋となります。日本国内での需要が落ち着いていても、海外にはまだ未開拓の可能性がたくさんあります。越境販売を通じて、新たな顧客層を見つけることが、企業の成長に繋がるでしょう。
ー 今後の展望について教えてください。
これまで国内市場を中心に展開してきた古着販売事業ですが、今後は越境販売にも力を入れ、さらに幅を広げていきたいと考えています。古着業界では、仕入れから販売までの流れや取引の仕組みが長年にわたって確立されています。国内外から収集された古着が選別され、大口でのBtoB取引を通じて小売店やリサイクルショップに卸されるというプロセスが成熟しているため、これをさらに精度高く運用し、チャネルを増やしていくことが重要だと感じています。
特に、越境販売では新しい市場を開拓し、古着の魅力を世界に伝えることで、業界全体の可能性を広げることができると考えています。品質の高い日本の古着を求める海外の顧客に向けて、積極的にアプローチしていきたいと考えています。
国内のアウトドア用品市場は、コロナ禍での異常な需要から一転し、現在はブームが落ち着いています。テントの在庫が増え、価格も大きく下落している状況ですが、これこそが正常な相場だと捉えています。しかし、コロナ禍で生産を増やした結果、苦しんでいるメーカーも多く見られます。
こうした中、アウトドア用品の2次流通市場を海外で強化することに大きな可能性を感じています。すでにタイ市場では、アウトドア用品が国内価格の約3倍で売れることもあり、現地のアウトドア関連イベントでは行列ができるほどの需要があります。現在、弊社ではタイには既存の輸出ルートがありますが、今後は中国市場にもルートを構築し、さらなる販路拡大を目指していきたいと考えています。
今後、タイでのイベント開催を検討しています。
国内で抱える在庫問題や価格低下の課題は、海外市場で解消することで、国内市場にも好循環を生み出せる可能性があります。これにより、国内のアウトドア市場を再び盛り上げると同時に、2次流通市場のさらなる活性化を目指しています。
「山エコ」は海外展開における重要な起爆剤として期待しています。国内では流通が難しい高額モデルのアウトドア用品も、海外市場であれば需要が見込めます。タイや中国をはじめとする新たな市場で、国内外を結ぶ2次流通の仕組みを強化し、アウトドア業界全体を活性化させたいと考えています。