「どれだけ多くの場所で商品を見せることができるかが、今後の成長の鍵になる。」そう語るのは、ブランド販売・買取事業を展開するリファレンス株式会社の窪田氏。
日本のリユース市場は年々成長を続ける一方で、国内需要には限りがあり、近年では海外市場に向けた販売の重要性がますます高まっています。特に、日本のブランド品やリユース品は、その品質の高さや信頼性から、世界中で評価されています。しかし、海外販売には物流や言語対応、販売戦略の違いといった多くの課題があり、簡単に進出できるものではありません。
リファレンス株式会社はこうした日本国内市場の変化を背景に、長年培った目利き力を活かして海外展開を本格化するため、ラグジュアリーブランド専門の越境ECモール「ZenLuxe(ゼンラクス)」を導入しました。マネージャーの窪田氏に、越境販売への取り組みと展望について伺いました。
ーこれまでどのように事業を展開されてきたのでしょうか?
リファレンスの創業は、約20年前にさかのぼります。代表が個人で海外から新品の商品を仕入れ、国内で販売をスタートしました。その後、ルイ・ヴィトンやシャネルといったブランド品の卸売を開始し、事業を拡大していきました。
当時はインターネットが普及しておらず、販売手段は雑誌広告が主流。しかし、時代の流れとともにヤフオク、楽天市場、Yahoo!ショッピングといったECプラットフォームに展開し、オンライン販売に力を入れるようになりました。
そして、さらなる事業拡大を図るため、古物商の免許を取得し、リユース市場にも参入。11年前には神戸に実店舗をオープンし、リアルとオンラインの両軸で事業を展開しています。オンラインだけでは伝えきれない商品の魅力を、実際に手に取って確認できる環境を整えることで、お客様との信頼関係を築くことができました。特に高額なブランド品を購入する際には、実際に現物を見てから決めたいというお客様も多く、リアルな店舗の存在が強みになっています。
ー リファレンスさんの強みを教えていただけますか
弊社の最大の強みは、他社が目をつけないレアものを仕入れる力にあります。
創業当初から、一風変わった商品やコラボアイテムに注目し、積極的に仕入れてきました。例えば、珍しいデザインのアイテムや、生産数の少ない限定コラボ品などです。
リユース品の取り扱いを始めた当初、大手の買取業者さんは、エルメスのバーキンやルイ・ヴィトンのモノグラムといった定番の人気アイテムを高値で仕入れるため、希少性の高いユニークなアイテムにはあまり関心を持ちませんでした。そのため、当時は珍しいアイテムが比較的安価に手に入れることができました。
例えば、通常の定番モデルに比べて、一風変わったデザインのアイテムや、過去に少量生産された限定品などは、当時の市場ではあまり評価されていませんでした。しかし、そうした商品は後になって希少価値が高まり、海外市場では特に注目されるようになっています。
この仕入れスタイルは現在も受け継がれており、他社とは異なる独自の品揃えを実現できています。
ー 海外市場に注目されたきっかけは何でしょうか?
日本と海外の消費文化には違いがあると感じています。
日本では、新しいものを好む文化が根強く、特に高額な商品ほど新品志向が強い。一方、海外ではヴィンテージやアンティークの価値が評価されており、リユース市場が拡大しています。
また、円安の影響も無視できません。以前は日本の消費者でも手の届いたブランド品が、今では高額になり、国内需要が縮小。一方、海外の購買層は拡大しており、海外市場へのシフトは必然だと感じました。
リファレンスのオンライン販売では7〜8割が海外の業者からの購入、残り2〜3割が日本のエンドユーザーといった構図です。購入代行業者の利用や、海外のモール経由の販売が増えており、越境ECの可能性を強く感じるようになりました。
ー リユース市場の変化についてどのようにお考えですか?
リユース市場は、ここ数年で大きな変化を遂げています。以前は、地域による価格差があり、関西圏の古物市場は関東圏に比べて安価な傾向がありました。しかし、コロナ禍を経てオンライン取引が主流となり、全国の市場がリアルタイムでつながるようになったことで、地域ごとの価格差がほとんどなくなりました。
また、近年の円安の影響もリユース市場に大きな変化をもたらしています。円安が進んだことで、日本国内のブランド品が海外から見て相対的に割安になり、海外バイヤーの需要が急増しました。その結果、希少価値の高いブランド品が国内市場から海外へ流れるケースが増え、国内市場での競争が激化しています。
以前は、海外のバイヤーもそれほど細かいリサーチを行わず、比較的幅広い商品を買い付ける傾向がありました。しかし、近年ではリユース市場のトレンドをしっかり把握し、売れる商品を的確に見極めたうえで仕入れる動きが強まっています。そのため、人気商品の価格はさらに高騰し、市場全体で商品の争奪戦が激しくなっているのが現状です。
今後もこの傾向は続くと考えられ、リユース市場では国内外の需要を的確に把握し、戦略的に販売を進めることがますます重要になっていくでしょう。
ー ZenLuxeを選ばれた理由を教えてください
販売パートナーの選定には慎重を期しました。どの企業と組むかは、海外展開において非常に重要なポイントです。
近年、ライブコマースの勢いが落ち着く一方で、購入代行業者の動きが活発になっています。今後も販売方法は変化し続けるでしょうが、国内市場だけに頼るのは難しい状況に変わりありません。
そこで、海外展開を進めるにあたり、すでにグローバルな顧客基盤を持ち、海外販売の仕組みが整っているZenLuxeを選びました。
実際に、ZenGroupの購入代行事業であるZenMarketを通じて、以前から当社の商品が頻繁に購入されていました。そのため、すでに海外の顧客との接点があり、さらに運営の信頼性が高いことも導入の決め手となりました。
ーどのような企業様にZenLuxeはおすすめでしょう?
ZenLuxeは、特に中小企業の方々にとって大きなメリットがあると考えています。
大手企業であれば、自社で海外販売の仕組みを構築したり、海外に実店舗を展開したりする資本力があります。また、すでに海外市場でのブランド力を確立している企業も多いため、独自のルートで販売することが可能です。
しかし、中小企業の場合、越境ECのノウハウや販路を持っていないことが多く、単独で海外市場へ参入するのは難しいのが現実です。ZenLuxeは、そうした中小企業にとって、海外販売のハードルを下げ、スムーズに海外市場にアクセスできる仕組みを提供しています。海外向けのECサイトを自社で立ち上げる場合、翻訳、決済手段、物流、カスタマーサポートなど、様々な課題があります。さらに、海外のマーケットに関する知識が不足していると、どの国でどの商品が売れるのかを見極めるのも難しくなります。
ZenLuxeを活用することで、これらの課題を一括で解決することが可能になります。たとえば、すでに海外の顧客基盤を持っているZenLuxeを利用すれば、販売開始と同時にグローバルな市場にアクセスすることができますし、物流やカスタマーサポートも代行してもらえるため、販売に専念できる環境が整います。
ー今後の展望について教えてください
時代の変化に適応しながら、海外市場での販売拡大を目指します。
どれだけ多くの場所で商品を見せることができるかが、今後の成長の鍵になると考えています。オンライン販売はもちろんですが、より多くの顧客にリーチするためには、適切な販売チャネルを増やし、海外市場での認知度を高めていくことが重要です。
発展途上国での販売にも積極的に取り組みたいと考えています。これまで日本のブランド品やリユース品を手に入れることが難しかった層に向けて、適正な価格で質の高い商品を届けることができれば、新たな市場を開拓できるだけでなく、リユース文化の浸透にも貢献できるのではないかと思っています。
一緒に成長できるパートナーとの協業を通じて、市場の開拓を進めていきたいと考えています。単独での海外展開には限界がありますが、現地の市場を熟知したパートナーと連携することで、よりスムーズに事業を展開し、顧客満足度の向上につなげていきたいです。